なんてことのない日々

つれづれなるままに、思ったことを書きましょうかね。凝った構成はやりません。インデックスとか。そんな時間はかけたくないので。ほぼプレーンテキストでやっとります。

【イベント】国立文楽劇場で「冥途の飛脚」鑑賞

 週末は一気に冷え込んできましたね。夏服から冬服に衣替えしなくていいんじゃないかと思ったけど、そんなことなかったですね。

 今月は11/4~26まで文楽がございます。3部構成のうち、3部(17:45~)の「冥途の飛脚」は名前を知ってたし、近松門左衛門300回忌特別公演ということで観ることにしました。

 来週は東京出張が絡んでいるし、最終週はギリギリすぎるので今日、12日に鑑賞することに。

 前日はアルビレックス新潟レディース観に行ったので走れず。今日午前中走ろうと思ったらガーミンの充電が失敗していたため、午後走ろうと思ったら小雨。14時、14時半、15時…と見送り、結局15時半過ぎから、6km程度走ってから外出。着いたの17時15分くらいになりました。あっぶね。

日本橋(にっぽんばし、と読む)駅の国立文楽劇場最寄り出口はこんなカラーリング。

もう周囲暗いです

着いたら開場していました。すぐ2回へ赴き、イヤホンガイドも申し込み。800円ナリ

「冥途の飛脚」の登場人物ではないですが、カッコいいですね。男性の人形ディスプレイも珍しい。

 今日の入りは1/4くらいだったかな。欧米人が団体で、バスで来ていました。30人くらいでしょうかね。

 例によって、後列の真ん中の席を取りました。3,800円。

 実際にあった事件を材に取った作品なのですね。

 飛脚問屋の大手・亀屋の若旦那・忠兵衛は24歳。隠居した養母の養子として家業を継いで4年。仕事も旦那衆の遊びも板についてきたが、最近は遊郭にハマっていて、下級の女郎(見世女郎)の梅川と恋仲に。それと軌を一にして、一部の客から「着いたはずの手形が届けられない」と苦情が舞い込む。それは忠兵衛が梅川を身請けするために使った資金だった…

 ってことで、今でいう公金横領モノ。公金横領すると、当時は死罪でしたか。死罪になっても、現代のように禁固となっても、横領した金は返ってこんでしょうなぁ。当時は飛脚問屋の組合が折半して武家に返したんでしょうなぁ。忠兵衛を養子にした鶴屋、信用の厚い大店だったろうに、廃業したんだろうなぁ。

 友達の八右衛門が、忠兵衛の転落を阻止すべく「あいつの金は商売で預かっている金だから、次に来た時は相手にすんな」って女郎部屋で言っているのを外で聞いた忠兵衛、恥の感覚が勝ってそれを全否定し「養子入りの持参金だ」って説明、封を切った小判を投げ散らかす。ブチ切れるにもほどがあってドン引き。悲恋なんだろうけど、共感はできないわね。今だと「横領した金は風俗に使った」ってなって、身請けに変わる概念はないかな。「嬢の借金を肩代わりした」くらいの感じかな。

 梅川を身請けした忠兵衛、二人で駆け落ち。逃げられるだけ逃げて二人でいると逃避行も、路銀がつき、忠兵衛の故郷である新口村へ向かう。空からはみぞれ…

 共感できない、共感できないっすよ。「曾根崎心中」のほうがまだね。どちらも遊郭がらみですけどね。

 今回の演出で感心したのは女郎部屋で、禿(女郎になる前の子供)が三味線引くシーン。実際の三味線の演奏に合わせて弦を抑えたりバチを弾いたりしていてシンクロ具合い、すごいと思いました。

 あと、女郎部屋(2階)で女郎たちが語っているのを聞くでも聞かないでもない越後屋の女主人が草子をめくって読んでいるところなども生きていますね~

 二人で駆け落ちする「道行相合かご」の後、捕縛される段があるのですが、「傾城恋飛脚」のその段が有名になったので「冥途の飛脚」はこの段までの上演なんだとか。この作品も損なわれた楽曲があって、「曾根崎心中」みたいに当時の名人が作曲したのがあるのだとか。途絶えると、色々大変だね。

 公金横領って、歴史を手繰ったらもっと昔からあるんでしょうな。横領したお金で入れあげた女郎を身請けか。どこかの地方公務員が南米出身のホステスに何億も入れあげた事件に比べると、純愛とかピュアな感じはしますね(?)

 種となった実際の事件では、身請けされた女郎は連れ戻されて「復職」したんだとか。女性の割り切りを感じますね。

 面白さ・共感できるかという軸でいうとそんなに面白いとは言えないが、まあ楽しめたかな。「曾根崎心中」大ヒットの後、心中が流行って、幕府から心中ネタ禁止のお触れが出たくらいという。心中ではないラストを近松門左衛門が新たに考慮したんでしょうなぁ。

 12月の公演はお休みみたい。1月の演目は(恥ずかしながら)知らないのばかりだったので、文楽鑑賞はしばらくお休みか、ひょっとして終わりか…

 おまけという名のトリビア。江戸~大阪間の飛脚の到着は8~10日だったので、飛脚は月に3度行き来していた(三度飛脚)。その飛脚が使っていた笠だから三度笠。へぇ~×15