すごいですねアンソニー・ホプキンズ。御年81歳でアカデミー主演男優賞ですよ。「ハンニバル」シリーズはさほど好きではなかったのですが、アンソニー・ホプキンズ作品は’90年代よく観に行ってました。「日の名残り」とかね。
クリント・イーストウッド同様、あと何作観られるか…といったところなので、観に行こうと思ったが緊急事態宣言!土日休館!
県外まで移動して観ようかなどと色々調べ始めたら候補にしていた館で先週続々と終映、近所で平日に観るしかない!
てなことで観てきました。
認知症になった人から観た世界、という予備知識のみで観ましたが何これ怖い!
知らない女入ってきたと思ったら娘だったとか、自分の家に娘夫婦が入り込んできたと思ったら逆だったとか、昨日面接していい感じの子だと思った介護人は今日来たら全然別の人だったとか娘がパリに移住する話は自分の記憶違いと思ったら最終的にはそれが正しかったりとか。
亡くなった自分の祖母もそうだったけど、認知症は日々一直線に下降していくのではなく調子いい時と悪い時が交互に起こりながら下降していくので余計に混沌としていくのだろうが、その辺の錯綜ぶりもうまく表現されていたように思う。
主人公アンソニーは途中で家が、おいてある椅子が、飾ってある絵が違っていることに気が付く。映画の冒頭とは確かに明らかに色彩が違っていた。もういっぺん観るなら家にも注目したい。
自分がおかしいことを認め、81歳の老人が(不安で)「ママに会いたい」という。ものすごく胸を衝かれるシーンだった。ひと泣きして介護人になだめられてアンソニーは心の安息を取り戻せたのだろうか。
登場人物6人の、すごく見ごたえのある作品だった。玄冬映画ならぬ厳冬映画。
8.5/10