なんてことのない日々

つれづれなるままに、思ったことを書きましょうかね。凝った構成はやりません。インデックスとか。そんな時間はかけたくないので。ほぼプレーンテキストでやっとります。肩のこらない書き方をしている結果、肩のこらない読み物になってるかな。あまり強く批判めいたことは書いてないつもりですが、好きなモノ・コト・人を悪く言ってたらゴメンナサイ。個人の感想です。読み飛ばしてください。

【映画】「国宝」鑑賞

 これは観よう観ようと思っておりました。吉田修一さん原作。この人純文学作家なのに結構映画化されてるよね。解釈の幅が大きいのが撮る側の魅力なのだろうか。映画は初めてですが著書は『パークライフ』から始まって『悪人』『横道世之介』『怒り』『愛に乱暴』など読んでいます。日経で連載している「タイム・アフター・タイム」もデイリーに追っかけてます。こんなことは『失楽園』ぶりかな。いや、『愛の流刑地』だ。んなことはどうでもいいか(笑)

 この映画、何が気になるかって吉沢亮横浜流星という”門外漢”が歌舞伎役者を演じるという、それに尽きますね。久しぶりにauマンデイで鑑賞しました。1,100円。やっす!

 例によってネタバレを含みます。

 1970年の長崎、立花組の新年会で父親を競合する組によって射殺された喜久雄は才能を見出され、1年後に歌舞伎役者・花井半二郎に引き取られる。半二郎には同い年の息子・半弥がいて、喜久雄と半弥は切磋琢磨して歌舞伎の稽古に励む。
 7年後、(松竹を模した)興行主の大抜擢で半弥・喜久雄主演の「二人道成寺」を演じる。歌舞伎の観劇経験はないのですが…この身体表現は圧巻ですねぇ。花道がまた、様々な演出に一役買ってて。「二人道成寺」は劇中で2度出てくるんですが、初回の、デビューのやつが良かったですね。早変わりとかこうなってんのね~、とか。舞台の中央奥から観客席を映すアングル、時々出てきてまた効果的。

 「二人道明寺」の成功で2人は人気者になり、頭角を現す。ある時、花井半二郎が舞台の幕が開ける5日前に交通事故で大けがに遭う。当然代役は息子の半弥、と思われたが半二郎の指名はなんと喜久雄!直前の猛特訓で「曾根崎心中」のお初を演じ、これまた大好評。半弥は途中まで観劇していたが抜け出してしまう。追いかける半弥の恋人春江…

 ここからドラマティックに変遷し、半弥出奔から7年、半二郎を喜久雄が襲名→襲名披露公演の口上を述べる場で白虎を襲名した元の半二郎が死亡→後ろ盾を失った半二郎、仕事来なくなる→大御所の娘に手を出し、梨園にいられなくなる→半弥復活・半二郎はドサ回り→4年後に声かかって復帰→半・半コンビ復活の「二人道成寺」→半弥に異変→糖尿病で片足切断→義足で「曾根崎心中」(翌日から代役)→半弥の死後16年、人間国宝に(多分60歳)…

 って感じ。

・序盤、極道の妻を演じる宮澤エマ。貫禄あるなぁ。朝ドラでも継母演じたのあったな。
・喜久雄も半弥も春江も10代の子、成人後と顔の系統違いすぎねぇ?

文楽で「曾根崎心中」観ててよかった。あの縁の下で徳兵衛の足に頬ずりするシーンが心理描写のクライマックスなんだよね。『渦』で取り上げられていたけど、文楽より生身の人間がやることのダイナミックさが確かに伝わるなぁ、歌舞伎は。

・森七菜さん、喜久雄に惚れるお嬢ちゃん役だが体当たり演技ですね。清純派かと思っていましたが。本当にセックスしてる感がありました。高畑充希演じる春江と喜久雄のシーンより。映し方もシチュエーションも違うけど。喜久雄は本当に役のために近づいたんかな。そして「もうやめよう」で去っていったのかな。

・とにかく顔面偏差値の高い主演2人でしたね。女形の化粧が似合っていたのはやや丸い輪郭の吉沢亮の方かな。

・春江が喜久雄から半弥にいったのは、フラウ・ボウアムロからハヤトに対象を移したような感じかな。

・例のAmazonのCMまで知りませんでしたが、終盤のカメラマンのシーン、「あれ?瀧内久美?」と思い、そうでしたね。娘(非嫡出子)としての最後の言葉、ジンときた。

・美しい美しいと思っていたら、美術監督種田陽平さんじゃないっすか。納得~。映像(撮影)も美しいんだけどさ。

・親子2代で糖尿病って…。'70~′80年代の質の悪い日本酒中心の生活ならさもありなんかもだが、息子の方が進行・病状が重すぎる。ドサ回り時代が利いたのかな。

・7年も梨園離れたヤツが簡単に戻れるかい、とちょっと思ったけど、現実にも起きてそう(起きてるかな)。

・2号とか非嫡出子とか婚外子とか梨園に色々いわれているのもサラッと盛り込まれてますね。

・91歳の人間国宝の「終の棲家」が小きったないところで、「美しいものが何もないからほっとする」という発言が印象的だった。

 いや~すごいすごい。観ながら「長い話だな」とは思ったけれど飽きたりダレたりということはない、一定の緊張感を保持していたと思う。やっぱ歌舞伎の世界は血なんですかねぇ。20時に観始めて、館を出たのは23時過ぎ。クッタリ。

 久しぶりに500人くらい入るスクリーン4へ。このような内容だったのに、若い女性が多かったですね。正に劇中さながら。TOHOシネマズ梅田にて。9.0/10

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