なんてことのない日々

つれづれなるままに、思ったことを書きましょうかね。

【映画】「ひらいて」鑑賞

 小生、綿矢りさファンである。『蹴りたい背中』を読んで以来、あの学校の、10代の心情の、切り取り方が深く心に残り、彼女の作品は全部読んでいる(最新作・『オーラの発表会』は未読)。

 単行本は借りて読んで、文庫本を購入して再読、そんなスタンス(全然再読追いついていないけど)。

 そんな綿矢ファンの小生、今のところの最高傑作はほかならぬ『ひらいて』だと思っている。邦画はあまり見ない小生、映画版「ひらいて」が公開されているのも知らなんだが、読書お友達の情報を得て、観に行くことにしました。テアトル梅田・レイトショーにて。レイトショーができるようになったのは2年ぶりくらいですか?ようやく世の中ここまで来ましたね~。

 さて、映画ですが、大まかなストーリーは原作に忠実な印象。冒頭のダンスはなかったが。

 綿矢節を堪能できる独白(「正しい道を選ぶのが正しい。だけど正しい道しか選べないのなら生きている意味がない」「私は今まで愛情を希釈して色々なところに振りまいていた。でも今は薄めない一心の愛情をたとえに向けている」といった内容)が一切出てこない。出てこないからこそ、主人公・愛の行動の強烈さ・怖さが引き立っているとも言えるし、原作より行動の意味が分からない(だから怖い)とも言える。

 愛の妥協しなさは映画の方が際立っている。「10代くらいだとこんな気分でフケたくなったりすることあるよね」と50近いおじさんはシンパシーを感じるところもある。
 恋愛が行き詰ってしまう愛は、元々スクールカースト上位で推薦で進学も狙える位置だったのにはみ出した言動でどんどん転落していってしまう。これも、原作では「後から『あの頃はどうかしてた』みたいなことを言うような人生はいらない。この恋が実らなかったらこの先生きている意味がない」というような独白があった(かと思う)のだが、映画にはないからなんでここまでドロップアウトしてしまうかはちょっと弱いかな、と。

 そして原作のラスト、電車のシーンが一切なかった。これはどうしたものか。そして、この手の純文学作品をあえて映画化したそのチョイス・意図が気になった。

 スクールカースト上位・ほしいものは手に入れてきたタイプ愛の肉食動物(猫っぽさ)感、たとえ、美雪の草食動物感を再現したキャストも良かった。美雪はちょっとイメージとは違ったけれど。

 そして、『勝手にふるえてろ』のイチ同様、他人と交わることをビビって避けてる風だったたとえによる、愛への「お前のような奴が一番嫌いだ」発言のシーンの唐突なドSぶり、なかなか良かったよ作間君。

 大まかに言えば原作の世界観を活かして映像化はできていたと思う。そして、原作を(また)読み返したくなった。8.0/10

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